可能性
自分がどこへ向かっていくのか、不安で仕方がない
中学高校と、学生時代に、あれだけ縛られた生活は嫌だ、と揶揄しておきながら、翻って望んでいた誰かに干渉されることのない自由を今手にしたはずなのに、次は不安ばかりだと不満を言っている
何もない荒野に、子羊が一匹ぽっと放り出されたような気分だ
そこは何にもなくて、ただ少し強い風が吹くだけだ
空は夕焼けで、塵が舞っていて、視界はあまりよくない
周囲には誰もいない
これが自分の望んだ光景だろうか
自由とは一体何か。なにも存在しない場所にただ佇むだけか
このまま自分はどこに向かうのだろう
一年後は?十年後は?まったく見当もつかない
ずっと今のままのような暮らしをしているかもしれないし、ド派手に高層マンションなんかに居を構えて毎晩パーティなんかやってるかもしれない
そうだな。何もわからないってことは、無限の可能性に満ちているということだ
窓の外を見てみると、人が歩いているかもしれないし、歩いていないかもしれない
豪雨が降っているかもしれないし、降っていないかもしれない
殺人事件が起きているかもしれないし、起きていないかもしれない
一見何も起きていなさそうでも、家から外に出て、街を散歩していたら、犬が誰かに噛みついているかも
何も知らなければ、何もしていなければ、何も考えていなければ、無限の可能性がある
自分が観測していないものは、何もわからないからだ
それでも、少し前を見てみたら、可能性が狭まってくる
そしてようやく、ありもしない想像をしていたなと自省する
これはあれに近いな。テスト前まったく勉強していなくて焦るものの、当日の
深夜3時くらいになって、謎の自信が湧いてくるというやつ
あれって、何もしていないから、無限の可能性を感じちゃうんだよね
もしかしたら平均点いけるかも、ってね。
勘でいけばなんとかなるんじゃね?実はそんなに難しい問題出ないんじゃね?ぶっつけ本番で考えたらいけるっしょ とかね
説明する必要もないと思うけど、きちんと勉強していた人には自分の取れる点数ってのがおぼろげながらにわかっている
この分野をこれくらいの理解度まで進めることができた。そしておそらくこういう問題が出る
このタイプの応用問題が出たら少しキツいな~、でも用語きちんと覚えたから知識問題でカバーできる!
となると、およそ70点くらいだな。と
そして、その予想は得点配分に大きな偏りがあったりしない限り、おおよそ当たる
人生の行く末もそれと似たようなモンだなと思う
何もしないと夢を見る
同じくらいの大きさで、絶望にも苦しむ
今の自分は見えない未来に怯えて、何もできないでいる
何も見えない場所にいる
少しでも何か行動して、未来への希望を見出したいと思う